歯ぎしり・睡眠時無呼吸症候群
歯ぎしりとは?
様々な病気を引き起こします
睡眠中の歯ぎしりには、あごがだるくなったり、歯がすり減って摩耗してしまったり、冷たいものがしみる知覚過敏などを招いてしまうリスクがあります
寝ているので本人は気づきにくいですが、歯を食いしばったり、上下の歯をギリギリとすり合わせることから、まわりの人から迷惑がられることも多いと言えます。
自覚しにくい症状ですが、あごのだるさを感じたり、歯がすり減っているような感覚のある方は、一度、診断を受けられることをおすすめいたします。
歯ぎしりの原因
多くの場合、歯ぎしりは「心因性、ストレス性」が原因です。
日常生活の不安やストレスなど、心理的な要因に対して、無意識に歯ぎしり、食いしばりをすることによってストレスを発散させていると言えます。
歯ぎしりを放置すると、様々な問題が引き起こります
誰もが多かれ少なかれ歯ぎしりをするものですが、毎晩のように歯ぎしりや強い食いしばりをしてしまうと、眠りが浅くなる原因になったり、歯や顎関節にダメージを与える原因になってしまいます。
歯が摩耗して、知覚過敏になったり、歯周病が悪化してしまったり、時には歯が割れてしまうというケースもみられます。
歯ぎしりの治療法
一般的な歯ぎしりの治療法としては「マウスピース(スリープスプリント)」があげられます。夜寝る際に、マウスピースを装着することで、歯ぎしりによって歯にかかる負担を減らすことが可能です。
歯ぎしりの原因はストレスであることが多いので、マウスピースだけでは根本的な治療にはならない面もあります。毎日の生活の中で、ストレスを軽減させていくことが重要なのです。
顎関節症と歯ぎしりの関係
顎関節症(がくかんせつしょう)とは、顎(あご)の関節に痛みを感じたり、偏頭痛や耳の痛みを感じたり、顎(あご)の周りに筋肉が痛くなったりする症状があります。口が開かない、モノが咬めないと言ったことが起こる病気です。
主な原因として歯ぎしり、食いしばりなどで顎(あご)関節に強い力が加わることによって発生することが多く、精神的ストレスやスポーツなど患者さんにより症状も含め、さまざまです。主な治療方法としては、噛み合せ(咬合)が原因の場合は、スプリント(マウスピース)を使い、噛み合せの安定を図り、その後に矯正治療を行い、症状の改善を得ます。
睡眠時無呼吸症候群の怖さ
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう状態(無呼吸)が繰り返される病気です。
無呼吸症候群は、
- 一回(7時間)の睡眠中に、30回以上、無呼吸の状態が10秒以上見られる症状
- 睡眠1時間の中で、無呼吸数や低呼吸数が5回以上現れる症状
と定義されています。
睡眠時無呼吸症候群の症状が続くと、深く眠ることができないため、日中も眠い状態が続き、集中力や活力がなくなります。また、居眠り運転などにつながるリスクもあります。
治療せずに悪化させてしまうと、不整脈、高血圧、心不全、糖尿病などの原因ともなり、突然死などにつながるリスクもある怖い症状なのです。
自分は気付きにくい症状ではありますが、よく眠れないという実感のある方は、一度ご相談いただければと思います。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)の原因は、喉の上気道の空気の通り道が狭くなることで起こるいびきと似ていると言えます。
喉の上気道が狭くなってしまう要因としては、次のようなものもあげられます。
- のどの閉塞
- 扁桃肥大
- 首部分の脂肪の増加
- あごが小さい人、あごの後退が見られる人
- 鼻の構造的な問題(鼻すじの彎曲、鼻が低い)
- 舌の付け根や軟口蓋(鼻と喉の境の部分)の気道への落ち込み
一般的には、睡眠時無呼吸症候群は肥満な人がなりやすいと言われていますが、喉や顎、鼻などの形状によって、肥満でない人もなり得る症状であることがわかってきています。
いびき治療と睡眠時無呼吸症候群の治療
軽度のいびきの場合、ご家庭での工夫や日常生活の改善で治せるケースが多いです。
人によって解決策は違いますが、気道を開くために横向きに寝たり、枕を低くすること、アルコールを控えてダイエットすること、点鼻薬を使うなどが例としてあげられます。
重度のいびきや睡眠時無呼吸症候群の場合、より専門的な治療が必要となります。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
睡眠時無呼吸症候群で悩む方のために、当院では「マウスピース(スリープスプリント)」による治療を行っております。
患者さんの症状に合わせて、最適な治療法を提案させていただきますので、市販のいびき対策商品に比べて、効果の高い治療を行うことが可能です。
保険適用について
まず内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科などで睡眠時無呼吸症候群の検査を受けてください。(通常、歯科医院では検査や診断は行っていません。)
「睡眠時無呼吸症」と診断され、スリープスプリント治療を希望される方は、検査を受けた医院で、スリープスプリント治療を行っている歯科医院への紹介状を書いてもらってください。紹介状があれば、当院では保険適用となります。
スリープスプリントってどんな治療?
一人ひとりのお口の状況に合わせてマウスピースを作製し、就寝際に装着する治療法です。マウスピースは、寝るときに下の顎が若干前に出る仕組みになっています。
結果的に、舌を持ち上げてくれるので、喉の気道が広がり、いびきや睡眠時無呼吸を改善する効果が期待できます。
正常な状態
気道が十分に確保されており、楽に呼吸ができる状態
いびき症の状態
何らかの要因で舌が大きくなると、気道を塞ぐ回数が多くなります。結果的に、呼吸が妨げられてしまうのです。
装着時
スリープスプリントで舌を持ち上げ気道を確保しているので、いびきをかかなくなります。
スリープスプリントのメリット・デメリット
メリット
- 出張先や旅行先でも用いることのできるサイズです。また、プラスチック製なので、何年も活用できる耐久力が魅力です。
デメリット
- 残っている歯が少ないと(20本未満)、マウスピースを装着することができません。また、鼻の通りが悪かったり、寝つきの悪かったりする人にはスリープスプリント治療が適さないケースもあります。
CPAPでの治療
スリープスプリント治療で改善が見込めない方は、CPAP治療のための専門病院をご紹介可能です。
CPAP療法は、CPAP装置という特殊な機械を用いて、鼻に装着したマスクから気道に空気を送り続け、無呼吸を防ぐ治療法です。